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ボンアトレ支えてくれる人達!
このコラムでは、ボンアトレを支えてくださっている方々を紹介していきたいと思います。 その方々の仕事内容や興味のある事を通して、お互いの仕事に対するする思いや、その世界の奥深さや面白さをお伝えしていけたらと想います。
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第2回対談
-Guest-
升井鶏園
代表 升井 勤
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1968年に創業した升井鶏園は、現在、升井勤(ますいつとむ)さんと久栄(ひさえ)さんご夫妻で鶏園を営まれています。ボン・アトレでは、毎回、産みたての卵をいただいて10年になります。升井さんの卵に支えられています。こしがあってぷりぷりとしていて、ケーキの基本となる生地には手放せません。食べ比べると分かります。ひと味もふた味も違うのは、飼料を工夫し丹精に育てているからこそ。どういう育て方をなさっているのか、また、どういうご苦労があるのか、升井勤さんにお聞きしました。
(「BON ATTELLE」オーナーシェフ・奥山洋史/インタビュー) |
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「産みたて卵は殻の表面がザラザラしています」
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奥山:いつも、新鮮な卵をいただきありがとうございます。
升井:ボン・アトレさんにはその日に産まれた卵を届けています。10kg箱で購入していただけて、しかも使い切ってくださるのが嬉しいですね(笑)。いろんな鶏の卵の味を楽しんでいただいていますよ。
奥山:うちは一日で使い切っています。
升井さんの卵は新鮮だから殻の表面がザラザラしているんですよね。スーパーでは表面のザラザラしたのは見られないでしょう。
升井:そう、産みたての卵は、殻の表面がザラザラとしています。これは、卵の表面を覆っているクチクラ層という保護膜です。外から浸透してくる微生物などから卵を守っているともいわれています。売られているのは、表面がツルツルときれいですよね。お店に並ぶ頃にはザラザラは剥(は)がれてしまっているんですね。卵は殻で息をしていますから産んだ卵をそのままにしている方が賞味期限としては長持ちするんです。けれども食品衛生法で洗浄が義務付けられているので。今はブラシをかけて念入りに洗わざるを得ないのです。卵が生きていることには変わりないのだけれど、それでも、洗わない方が良い。昔は洗わなかったんだよね。奥山さんからは「卵を洗わないで欲しい」といわれていますがそうもいきません。
奥山:それでもお願いして、特別に洗うのを少なくしていただいていますよね。
いろいろ制約もありますが、消費者側と生産者側とのギャップは否めませんよね。生産者側が良いと思った手段では、消費者側が買わない。やはり見た目、きれいな方を買う。結局、消費者が買わないから生産者にそのツケがまわってきている。生産者が消費者に迎合することで消費者が失っているものも大きいように思います。
消費者が卵についての基本的な知識を持つことで、確かな目で商品を選ぶことが可能となるわけです。
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「升井さんの卵はコクがある」
―「その決め手は、親鶏の餌です」
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奥山:卵の色も赤玉といわれているものや桜色のもの、クリーム色など多彩、升井さんの卵はきれいだなと思います。栄養があるおいしい色(卵)していますね。でもおいしいか、そうではないかについては、実際に食べてみないと分からないのでは。
升井:そうね、実際に食べてみないと確かに分かりません。舌の感覚ですからね。卵の色自体は、親鶏の色素で決まりますから、赤玉といわれる卵は茶色の親から産まれ、桜色や他のものも同じです。影響を受けるとしたら環境や餌。卵の色やサイズが直接、味や栄養に関係しているということはないですね。
奥山:有精卵、無精卵についても同じことが言えるのではないかと。放し飼いにしているからおいしい餌を用いているとは限らない。各家で放し飼いで鶏を飼っていた、かつてとは時代が違いますよね。消費者として食べてもどちらがおいしいかなんて判断できないですよ。
升井:生産者ですら本当のところ分からないですよ。有精卵でも放し飼いにしてミミズとかいろんな生きものを食べている親鶏もいるだろうし。放し飼いにしていながら市販の魚のあらを使った餌を与えて高値で販売する、なんてこともあるのではないでしょうか。それがはたして良いのかということですね。一方で、「値段が高ければ良い物、クオリティの高いもの」と思い込んで購入する消費者も確かに多いんですよ。
奥山:突き詰めていくと矛盾を感じたり、世の中のいろんなことが見えてきたり。正確に把握する作業はすべてにおいて大切なことだと思いますね。おいしいかどうかの判断は見た目には難しくても、その殻を割ってみると升井さんの卵は、黄身も卵白部分もぷりぷりとしているのが一目瞭然。さらに、ケーキの生地に使用するメレンゲなどをこしらえていると、こしがあって何よりも泡立ちが良い、重量感もあって良質の卵を実感しています。こういう卵を産める鶏の餌や水には気を遣っていると思います。鶏は夏場にたくさん水を飲むんだよね。水は卵白の方に貯まるので卵白にこしがなくなって緩くなってしまう。緩くならないように水や餌を工夫しなければならない。手間が掛かってますね。ニンニクを添加した餌など、卵黄の方に顕著に臭いが残ってしまう。同じように魚をいっぱい入れるとカルシウム分は多いけれど今度は魚くさいような。生き物は食べ物を消化するので、「消化する時に良いものも悪いものも卵の中に出てきてしまう」。
升井:食べてみると舌の感触でこくがあるのを感じていただけるかと思います。もとになっているのが飼料ですから人間の食事と同じですよ。身体に良いものを食べているかどうかで鶏の体質、その卵の質が決まってしまう。使用している飼料は、良質のタンパク質を含んでいる大豆が主です。大豆は、タンパク質以外に鉄分やカルシウムなどのミネラルも非常に豊富です。そこに、いろいろ添加していますが、中でも魚粉は欠かせません。魚粉を入れることで栄養のバランスがとれて、しかもコクのある味に仕上がっています。色々試みましたが、変わらずにこだわってきたのがこの魚粉です。ほかに牡蠣(かき)化石なども入れています。
基本的には、安全で、おいしくて栄養のバランスのとれた卵を供給することなのですがね。
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卵は「物価の優等生」、その負担が生産者に
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升井:餌は大事、環境も大切。でもね、餌代が卵1箱分で1000円以上。原油価格の高騰にともなってこんなにも餌代が上がっている。そうかといって飼料の質は落とせないので、削るところは人件費。鶏は毎日、卵を産みますからね。人手が不足すると仕事がまわっていかなくなります。1箱あたりの単価がある程度上がってくれれば。安全でおいしい卵には、それだけの費用も掛かる。鶏舎の修理にまでまわす余裕がないのね。
創業した当初はボン・アトレさんのように箱で購入される家庭がほとんどだったのです。
日本人の食文化が随分変わってきていますからね。個人ですと、12個入りのパックで購入されるのがほとんど。卵はかつて、欲しくても手に入りにくかった贅沢品。牛乳が17円の時代には、卵も豆腐も同じ値段だったのです。そして今、卵だけ値段が変わっていない。
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奥山:「物価の優等生だった」卵は同時に、「家庭の必需品」。無いと困る家庭が多いと思います。そう、結局は生産者がガマンしている。流通における中間マージンも見越されている。スーパーで1パック88円とか、この値段が付く卵って何なんですか。
升井:市場は日本全体の相場で値段を決めているので、市場を通すと卵1個10円になるんだね。
原価としては安いから、それで市場から流れていると思うのですが、売値88円というのはいくらなんでもできないよ。
奥山:スーパーで何か買うと卵1パック景品でついて来る。
升井:安いからでしょう。しかもある程度、量がまとまるじゃない。だから結局、目玉商品になってしまう。流通経路については生産者にも分からないんだから、消費者はもっと分からないよね。
奥山:そうすると泣くのは生産者。
升井:そう、完全に。収支を計算すると今は特にマイナス。
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「卵の箱はリサイクルして欲しい」「小売りの道も」
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奥山:う〜ん。例えばこういう卵の箱でもリサイクルしないで捨てられていたら悪循環ですよね。うちはリサイクルしますけど。負担する生産者が泣くのではなく、スーパーだからこそリサイクルを可能にして欲しい。
升井:市場では全部焼却されてしまう。しかも原油の高騰で箱も古紙の紙パックもビニール素材のパックもすべてが値上がりしています。
容器をはじめ出荷するにも費用が掛かってきます。やはり小売りしないと生きていけません。牛乳とは違うので小売り(直売)への規制はないのです。
奥山:小売りしてもいいんですか。生産者と直接話す機会がない中で、小売りですと、お互いに顔を見ながら話しながら。興味深くて貴重なことだと思います。
升井:鶏園をこの場所で始める以前に居たところは、数世帯の養鶏所が集まっていました。臭いの問題があって固まっていると対処もできるのではと。糞をすれば臭いがしますから大変でしたね。もちろん鶏舎には対処の工夫を凝らしています。その土地が一等地になったことで、ほとんどの養鶏所は廃業や転業へと移行してしまいました。後継者もいないでしょう。あと20年でどれだけの所が続けているかですよね。ボン・アトレさんのような「ここの卵でなくては」という熱心な消費者の方がいないと。
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「卵のこれからは、日本人が生きるための道しるべ」
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奥山:漁業だと採れないと保障があったり、農業も減反でお金が支給されたりしていると思います。「物価の優等生」とまでいわれている卵については保障がない。日頃、1パック100円代だった卵が300円になったら買わないですよね。「お前のところから買わないよ」ってなりますよね。そうなると生産者が潰れてしまう。国の政策で補助金を考える、それで随分変わるのではと思います。卵で一番こわいのはサルモネラ菌ですが。そういうのに対しての検査費用とか、抗生物質などの対処費用の問題も出てくる。インフルエンザのワクチン作るのも卵ですからね。やはり卵は貴重です。食料自給率が約30%となった日本、卵がないと困りますよね。卵のこれからは、日本人が生きるための道しるべでもあります。
升井:親鶏一羽が年間に産む卵の数は270〜280個かな。オートメーション化のブロイラーは電気の中でしか生きてられなくて太陽の光を浴びていないので顔色悪くて真っ白だけどね。
奥山:それでも、L玉・M玉・S玉のいずれも卵黄の重さは変わらないのが卵の不思議なところですね。変わっても2gくらい。だいたい2対4の比率、卵約60gに置き換えると卵黄20g、卵白40g。升井さんの鶏たちは健康的。62g以上がL玉ですが、その62gをちゃんと産んでくれるのはすごいことです。
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